雪の華 映画のネタバレあらすじ結末は“死”を示唆?生きる意味問う感動作に号泣必須


中条あやみさん×登坂広臣さん主演映画『雪の華』結末までのあらすじをネタバレでまとめてみました。

映画『雪の華』は2003年に大ヒットし、冬のラブソングとして今もなお幅広い層から愛される中島美嘉さんの『雪の華』からインスパイアされ生まれた物語です。

余命1年を宣告された主人公・美雪(中条あやみ)が望んだのは、たった一度の恋でした。病気のことを隠し、偶然出会ったカフェ店員・悠輔(登坂広臣)と100万円で1ヶ月の恋人契約を結んだ美雪ですが、やがて契約は本物の恋へ・・・

雪の華に彩られながら育まれた2人の恋の行方、そして命のタイムリミットを迎えた美雪の運命は果たして・・・ ?!

以下、映画『雪の華』の脚本を元に書き下ろされたノベライズ本の結末までのあらすじをネタバレでまとめています。映画『雪の華』結末のネタバレにつながりますので、映画がまだの方はご注意ください。
 


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映画『雪の華』のキャスト(ネタバレあり)

美雪(中条あやみ)

区立図書館の契約社員として働いている。6年前にガンで父親を亡くし、以来、母1人子1人で生きてきた。

幼い頃から身体が極端に弱く、成人式は迎えられないかもとまで言われていたが、身体に悪性の腫瘍があることが発覚し、余命1年を宣告される。

もともと引っ込み思案で思ったことを声にしない性格なため、恋とは無縁だったが、余命宣告を受け、恋がしたいという望みを抱く。

 

悠輔(登坂広臣)

カフェVOICEの店員。6年前にガラス工場を経営していた両親を交通事故で亡くし、以来進学を諦め、高校生の妹・初美と中学生の弟・浩輔を親代わりに育てている。工場に借金があり、保険金や住んでいた家も返済に充てたため、経済的に余裕がない。兄弟3人で古アパートに住んでいる。

夢はガラス職人で、カフェ勤務の合間を縫い、工房にて作品作りに取り組んでいる。『声出していけよ!』が口癖。

美雪に病気のことや素性を隠されているため、恋人契約は金持ちのお嬢様の暇つぶしだと思い込んでいて、自らと境遇が全く違うことから、いい印象を抱いていない。

 

岩永(浜野謙太)

カフェVOICEのオーナー。悠輔が所属していた高校のサッカー部のOBで、悠輔の事情を理解し、自らが経営するカフェで雇ってくれた。

人が良過ぎ、騙されることもしょっちゅうで、連帯保証人になった友人が高飛びしたことが原因でカフェ閉店の危機に追い込まれる。

 

若村(田辺誠一)

美雪の担当医。幼いこと頃から美雪のことを診てきたことから、美雪とは親しい間柄。悠輔との恋人契約のこともすべて理解した上で、美雪が残された人生を有意義に過ごせることを応援してくれる。

若村が担当医だとは知らない悠輔は、若村と一緒の美雪の姿を目撃し、本当の恋人や婚約者なのではないかと疑いを抱く。

 

礼子(高岡早紀)

美雪の母。デザイナーで勤務地である京都で暮らしているため、美雪とは離れて暮らしている。

美雪の父とはフィンランドで運命的な出会いを果たし、結ばれた。帰国後、子育てのために夢を諦めていることから、娘・美雪からは母の邪魔をしたくないと気を遣われ、美雪が余命宣告を受けたことは聞かされていない。

画像出展元:映画『雪の華』公式HP
 


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映画『雪の華』恋と病気の結末からいきなりネタバレ

映画『雪の華』の主人公・美雪(中条あやみ)と悠輔(登坂広臣)の恋の結末、そして命のタイムリミットが訪れた美雪が迎えた結末について、いきなりネタバレしていこうと思います。

本物になった2人の恋

まず、2人の恋の結末についてですが、恋人契約を結んだ2人はのちに本気でお互いを愛するようになり、一度は離れるものの、結末にて本物の恋人として結ばれています。

しかし、美雪と悠輔の恋人契約は、それぞれ『ちょっといいな・・・』『なんだこの女?』から始まっているため、結末にて本物の愛で結ばれるまでにはたくさんの葛藤とすれ違い、涙がありました。

示唆される永遠の別れ

次に余命1年と宣告された美雪の結末についてですが、映画『雪の華』の中で、美雪が亡くなってしまうという展開はありません。とはいえ、手術を受けたのちに全快したという展開もありません。

亡くなったと具体的には描かれないものの、『雪の華』ラストシーンは美雪が息を引き取ったとも受け取ることができる記述になっていることから、受け取った側に託されているとも言えると思います。

映画『雪の華』のノベライズ本の内容から、美雪のガンはすでに手術をできるステージを超えていて、延命治療と痛みを緩和する治療しか残されていない状態です。結果的には宣告されていた余命1年を過ぎても、美雪は生きてはいますがその状態は刻一刻と悪化へ向かっているようで、決してハッピーエンドではありませんでした。

ラストを知ったからこそ、輝くもの

映画『雪の華』の結末は、恋は実るものの、これから訪れる永遠の別れを示唆したラストとなり、非常に重いものとなっています。

しかし、2人が本物の愛で結ばれるまでの過程をひとつひとつ目撃してきたことによって、そのラストはただ悲しい結末ではなく、生きる意味を問う深い作品へと昇華しているのです。

この後、映画『雪の華』の結末までのあらすじをネタバレでご紹介していきますが、ラストを知っているからこそ、2人の何気ない会話や心の動きが輝きを増し、ラストの感動へと繋がっていきます。ぜひ、最後までお付き合いください。
 


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映画『雪の華』のネタバレあらすじ

私の願いは叶いますか?
私が欲しいものは恋だと、愛する人とともに過ごす時間だと
言葉に出して、声に出せばいつかあの人に届くのでしょうか
引用元:映画『雪の華』ノベライズ本

突然の余命宣告

美雪(中条あやみ)はフィンランドの小さな町・シルッカにて、頭上の空を見上げながら、もう何時間もずっと立っていた。

美雪が探していたのは、赤いオーロラだ。あれは5歳の誕生日。今は亡き父が赤いオーロラの話をしてくれた。

『いつかフィンランドに行こうな、美雪。パパとママの出会ったところだ。冬には七色に輝くオーロラが見えるんだ。1番すごいのは赤いオーロラだ。赤いオーロラは珍しい。めったに見られないから、見たら幸運が訪れるんだ。今度、一緒に行こうな。家族3人で』

美雪は幼い頃から身体が弱く、ずっと病院に通ってきた。中学に入って、少しずつ身体も丈夫になり、次の夏休みには旅行ができるかもという話題が出ていた頃、美雪の父にガンが見つかった。その後、父はわずか半年でこの世を去ることになる。

帰国すれば、精密検査を受けることになっている。とにかく赤いオーロラを見ることができれば検査の結果はきっと大丈夫・・・そんな願掛けを兼ね、勇気を振り絞ってフィンランドまでやってきた美雪だったが、空には赤いオーロラどころか、普通のオーロラも見えない。

美雪は結局オーロラを見ることができないまま、帰国した。

帰国してすぐに精密検査を受けた美雪は、その結果を聞きに行った日、主治医の若村(田辺誠一)から『正直、よくない』と切り出された。『あとどのくらい?』と尋ねた美雪に、若村は『この1年、悔いのないよう過ごして』と返す。余命1年を宣告されてしまった瞬間だった。

身体には悪性の腫瘍があって、手術はできないこと、抗がん剤での治療を始めることを若村は説明し、呆然とした美雪を気づかないながら、病院を送り出した。

その帰り道。街はクリスマスムード一色で、行き交う人々もみんな幸せそうだ。そんな中、1人奈落の底に突き落とされたように、美雪はとぼとぼと歩いた。すると、突然後ろから来た自転車の男に、持っていたバッグをひったくられてしまう。

『そこまでしますか・・・』美雪は声を上げることもできずに、その場にしゃがみ込んだ。

ちょうどその時、クリスマスツリーにするモミの木をカフェVOICEに運び込もうとしていた悠輔(登坂広臣)の真横を、ひったくり犯が猛烈なスピードで走り向けていった。背後には道にしゃがみ込んだ美雪の姿が見え、ひったくりが起こったことを悟った悠輔。悠輔は男を追い、見事美雪のバッグを取り返すことに成功。まだ道にしゃがみこんだままの美雪にバッグを差し出す。

呆然としている美雪に苛立ちを募らせた悠輔は『声くらい出せよ!』と一言。(私があと1年しか生きられないなんて知らないくせに・・・)今度は美雪が腹を立て、『じゃあ助けてって言ったら、誰か助けてくれるんですか?』と食ってかかる。『なんだよ、出んじゃん。その調子で、じゃあね』悠輔は去っていく。ふと気がつくと、雪が降り始めていた。『声出していけよ!声!』美雪が振り返ると、道の向こう側で悠輔が手を振っていた。
 


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1ヶ月間の恋人契約

その後、若村とともに新しい治療を始めた美雪。薬の量がこれまでとは比較にならないくらい増え、1回分を飲み下すだけでも苦労するようになった。どんどん痩せて、疲れやすくなっていった。

高校卒業後、契約社員として働いていた区立図書館も辞めざるを得ない状況になる。

そんなある日、街中で偶然悠輔の姿を見つけた美雪。悠輔のあとを追い、悠輔がVOICEというカフェで働いていることを知る。勇気を振り絞り、店に入った美雪だったが、悠輔は美雪のことを覚えていなかった。

注文したカフェラテとワッフルが美雪のテーブルに運ばれた頃、カフェのオーナー・岩永(浜野謙太)が店に戻ってきた。その顔面は蒼白だ。

『神田が逃げたんだ』岩永はそう切り出すと、バーを開店したいという友人・神田が借金を重ね、逃げてしまったことを悠輔に語る。

岩永は神田の借金の連帯保証人になっていて、借金を返すと、カフェVOICEの経営は難しくなる。借りている建物の更新料として100万円足らなかった。なんとかしたいと思う悠輔だったが、両親が亡くなって以来、高校生の妹と弟を養っている身の悠輔には10万円を用意するのも難しかった。

岩永と悠輔のやりとりの一部始終を聞いてしまった美雪。美雪は店を出るなり、悠輔に預金通帳を差し出し、『あります!100万円。使ってください』と切り出した。不審な顔をしている悠輔に向かって、美雪は『私の恋人になってください!』と続けた。

突然の美雪の申し出に困惑していた悠輔だったが、仕事を失いそうな今、1ヶ月の恋人契約で100万円は魅力的な話だった。悠輔は応じ、お互いに嫌がることはしない、名前が呼び捨てにするなどの取り決めを行い、2人は連絡先を交換して別れた。

帰宅した美雪はノートを取り出し、『恋人としてみたいこと』と書き込み、今までずっと憧れていたことをひとつずつリストにして書き込み始めた。嬉しくて、楽しくて、久しぶりの笑顔が美雪の顔に浮かんだ。

その後、悠輔は美雪から受け取った100万円を、店の運転資金として岩永に渡した。岩永は涙を流して喜び、カフェVOICEは閉店の危機を免れることができたのだった。

恋人がいる生活

こうして、美雪と悠輔は初デートの日を迎えた。今日は、この間ノートに書き込んだ、『水上バスに乗ること』と『水族館に行くこと』を実行する。

美雪は悠輔には一切素性を明かしていない。同情されるのが嫌だったからだ。一方の悠輔は、美雪のことを働きもせずに1ヶ月間の恋人契約に100万円をポンと出せるお金持ちのお嬢様だと勘違いしていて、苦労して生きている自分の身の上と比較すると、嫌な印象しか浮かばない。契約を結んだ以上、美雪の要望取りに理想の優しい恋人を演じてはいるが、内心では美雪のことをバカにしていた。

1日中、デートを楽しんで帰ってきた美雪は無理をしすぎたようだ。胸が苦しく、激しい頭痛とめまいに見舞われる。『無理したら約束できないよ。強制的に入院してもらうからね』と怒られてしまうのだった。

2回目のデートはショッピングセンターの屋上。美雪はそこで、ランチタイム前に店を少しの間抜け出してきた悠輔とハンバーガーを食べた。

その日、美雪はいつもかけているメガネを外してきていて、悠輔がそのことになかなか気づかないことから腹を立ててしまう。気づいた悠輔が『いいんじゃない?』と声をかけると、美雪は表情を輝かせた。

その後、悠輔は美雪を連れ、カフェ・VOICE。『彼女の美雪です』ときっぱり言って、岩永に美雪のことを紹介してくれた。店に飾られている悠輔が作ったガラス細工に美雪が興味を持つと、今度はガラス工房へ連れて行ってくれるのだという。

帰り道、幸せな気持ちで悠輔と別れた美雪はドアの前にしゃがみ込み、『どうしよう、どんどん好きになってる。すぐに終わっちゃうのに・・・』とつぶやいた。

その後も、美雪がリストアップした『恋人としてみたいこと』はどんどん実現して行った。ガラス工房では悠輔の真剣な夢に触れ、さらに美雪は悠輔のことを好きになった。

また、家にも呼ばれ、家族にも紹介してもらった。兄弟3人で暮らす悠輔の自宅は狭くて古いながらも、とても暖かで居心地が良かった。
 


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迫るリミット

そしてまた、検査を受ける日がやってきた。たまには外で話さないかと誘われ、美雪は若村と近くのカフェへ。そこで、美雪は悠輔の存在や1ヶ月間の恋人契約について、若村に明かした。『笑うとな、免疫力が上がるんだ』若村はそう言い、美雪を応援する構えを見せてくれた。

ちょうどその時、店で切らしたミルクを買いに外へ出ていた悠輔は、窓際の席で若村と楽しそうに話す美雪の姿を目撃する。

本命の彼氏が忙しすぎて構ってもらえないから、暇な時間を俺と会って恋愛ごっこをしたいのだろう。ただの契約、雇い主が何をしようと関係ない。そう必死で自分に言い聞かせる悠輔だったが、胸の奥から湧いたモヤモヤは、悠輔の心いっぱいに広がって、なかなか晴れなかった。

新たな美雪の検査結果が出た。思ったよりも病気の進行が早く、病状は悪化の一途をたどっていた。今度、新しく始める予定の治療に望みを託すしかないという状況だった。新しく始める治療を受けるには、入院しなければならない。副作用も今までとは比較できないほど大きくて、髪も抜け落ち、顔が腫れて人相が変わってしまうかもしれない・・・

そうなる前に、美雪にはやり残したことがあった。『恋人としてみたいこと』に書き込まれている『彼との旅行』だ。

その日、悠輔と会った美雪は、この間一緒にガラス工房を訪れた際に悠輔が作ったガラスのペーパーウェイトをプレゼントされた。高揚感から、『ひょっとして私のこと、本当に好きになっちゃったりして・・・』と冗談めかして、しかし内心では必死に切り出した美雪。しかし、悠輔から帰ってきた言葉は、『はぁ?そんなことあるわけないでしょ』という一言だった。

わかっていたこととは言えど、密かに傷ついた美雪は、次の瞬間、ずっと考えていたことを実行に移すと心に決める。それはリストにある『彼との旅行』だった。

『ちょっといろいろ都合があって、一気に終わらせましょう、契約』美雪は悠輔をフィンランド旅行へ誘った。旅行が終われば、契約は終わり。本当は治療のために入院する予定が迫っているからだが、そうとは知らない悠輔はあまりにも勝手な申し出に、(もう結婚が近いとか、そんなことなのか?)と美雪への疑念を募らせていた。
 


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最後の旅行

こうして美雪と悠輔はフィンランドへ。これから3日間、ずっと悠輔と一緒だ。しかし、これが悠輔と恋人として過ごす最後の時間になる。

この旅行で美雪が望むことはただひとつだけ、思い出作りだ。これから始まる辛い治療や入院生活、そしてやがて迎える最期の瞬間に、悠輔との恋をひとつひとつ思い出して、命をつないでいくために必要なものだ。

フィンランドの旅は本当に素敵な時間だった。美雪の両親が出会ったデザイン博物館を悠輔とともに訪れた美雪は、かつて両親が出会った場所に、大好きな人と一緒に立っていることを思うと、大きな感動に襲われる。

デザインの勉強をしに、博物館めぐりをしていた母・礼子(高岡早紀)がストーカーにつけ回されていて、それを救ったのが卒業旅行に来ていた父だったこと、2人が初めてデートをした日に雪が降っていて、この雪一生忘れないねと話したこと、母が父に一目惚れし、すぐプロポーズしたこと、美雪はそんなことを嬉しそうに悠輔に語り、悠輔はどんどん美雪に惹かれて行っている自分に気づく。

その後、街へ出た2人は自然に手をつないだ。

今は夏で、オーロラは見えない。美雪は父から聞いた赤いオーロラを見ると、幸せになれるという話を悠輔に話して聞かせ、『明日、もう帰るんだね。契約狩猟だね。ご苦労様でした』と頭を下げた。

悠輔は気がつけば、美雪にキスをしていた。(君が好きだ)喉元まで出かかったその言葉を、悠輔は言うことができなかった。代わりに口をついて出たのは、『こういう場所だと、恋人ならするでしょ』という照れ隠しの一言。

『契約のことなんだけど・・・もう少し俺と一緒に・・・』悠輔の言葉を遮るように、美雪が『この旅行で終わりにするって決めたの。今までありがとう』と告げる。『買い物あるから、先行くね』美雪はそう言い、その場から去って行った。涙が後から後からこぼれ落ちたが、美雪は一度も振り返らなかった。

翌朝、悠輔がチェックアウトするため、フロントへ行くと、美雪はすでに空港へ向かった後だった。その後の飛行機の席も離れ離れになっていて、2人は一言も会話を交わすことはなかった。成田空港へ到着し、『ありがとう。元気でね』とだけ言い、2人は別れた。

美雪が抜け殻のようになって家に帰ると、玄関の前に母・礼子の姿があった。すべて若村から聞いたという礼子に『何やってるの、あなたは。どうして私に隠すの!?』と叱られ、しゃがみこむ。体力の限界だった。

『今日は怒らないで・・・お願い。頑張ったんだよ、私・・・一生分頑張った』そう言い泣きじゃくる美雪を、礼子は何も言わずにただ抱きしめた。
 

 

真相を知った悠輔

それから新しい治療が始まり、美雪は夏中、病院に入院して過ごした。食欲もなくなり、もう何を食べても美味しくない。そんな辛い医療が効いたのか、数値がだいぶ安定し、退院許可がおりたのはもう秋のこと。それから美雪は母が仕事に出る隙を見つけては、もうすぐそこに迫っている命のタイムリミットに向け、身の回りの品々を整理し始める。

しかし、病は確実に進行していて、『そろそろ強い薬を使ったほうがいい』という提案が若村からされた。今度の治療はさらに辛く、長くなるだろう。もしかすると、次は退院できないまま、最期を迎えるという可能性も十分ある。

ついにこの時が来た。そう思った美雪は今まで考えていたことを切り出した。『今日は最後のわがままを聞いてもらおうと思って・・・今日これから行ってきます。残った貯金ギリギリで行けるんだよね。ラストチャンスのオーロラ。最後にやっぱり挑戦してみようと思って』美雪はこれからフィンランドへ飛ぶことを若村に告げた。

以前の自分だったら、こんなこと考えられなかっただろう。余命わずかとなって、美雪に最後の最後まで精一杯生き抜こうという強さが生まれていた。自分を変えてくれたのは・・・悠輔との恋だ。美雪は心から悠輔に感謝していた。

病院での美雪と若村のやりとりを少し離れたところから、聞いていた人物がいた。それは、弟・浩輔が部活中に怪我をし、病院へ運ばれたという連絡を受け、駆け付けた悠輔だった。

美雪が去った後、悠輔は若村に食いつく。『お願いします!教えてください。彼女は・・・どこか悪いんですか?!』守秘義務があることから詳しいことは話せないと断ったのち、若村は悠輔を診察室へ招きいれ、Skype通話を礼子とつなぐ。母からの説明であれば、守秘義務違反にはならないだろうと考えたからだ。

そこで悠輔は、ショッキングな一言を告げられた。『あの子はね、もう長くは生きられないの』言葉を失っている悠輔に、礼子は続ける。『あの子が声に出して、欲しいものを欲しいって言うのは、本当に勇気が必要だったと思うのよ。悠輔くん、あの子帰ってきたら入院するの。もう家には戻れないかもしれない。それぐらい悪いのよ。あなたのこと傷つけたってずっと気にしてた。でも、あなたに本当のことを言えば、きっとそばにいてくれたでしょ?あのこはあなたに辛い思いをさせたくなかったの。ごめんなさいね』
 

 

赤いオーロラ

悠輔は気がつくと、走り出していた。なんとか金を工面し、フィンランドへ飛ぶ。空港から最寄駅までたどり着いた悠輔だったが、駅前には路線バスもタクシーも見当たらない。

国道まで歩いて出た悠輔は、なりふり構わず通りがかる車にヒッチハイクし、やがて一台の車に乗せてもらう。しかし、突然飛び出してきたトナカイのせいで路肩から飛び出てしまい、ロードサービスを延々と待ったり、やっと走り出すものの今度は倒木のせいで道を塞がれ、最後には現地の人が止める中、美雪がいる町へと向かって、徒歩で向かうことにした。

気温はマイナス20度。吹き付ける風を切って進みながら、悠輔はずっと美雪のことを考えていた。思えば、美雪がときどき苦しそうにしていることは何度かあった。あの時、もっとしつこく聞いていれば・・・という後悔が悠輔を襲う。(美雪に会えたら、もう二度と離さない・・・)

その頃、突然訪れる凄まじい痛みを鎮痛剤でごまかしながら、美雪は空を見上げていた。フィンランドへ来て2日目の夜だが、まだオーロラは見れてない。

美雪はポケットから、いつか悠輔からもらったガラスのペーパーウェイトを取り出す。『声だよ、声・・・声出していこう』美雪は悠輔の言葉を思い出した。自分が本当に欲しいものは、オーロラじゃない。気づいた美雪は、夜空に向かって、声を張り上げる。『悠輔!悠輔!会いたいよ!悠輔のことが大好きなんだよー!!』

『なんだよ』その時、悠輔の言葉が聞こえたような気がして、振り返った美雪。そこに、悠輔がいた。『・・・なんで?』震える声で尋ねる美雪に、『恋人だろ?』と返す悠輔。『お前、俺に黙ってただろ?そんなの恋人じゃねえだろ。やり直しだよ』と悠輔はぶっきらぼうに言った。

『・・・今度はいつまで?』『俺たちが生きてる限り、ずっとだ』美雪は悠輔の腕の中に、抱きしめられた。

その時、2人の頭上に緑色の光の帯が揺らめいた。オーロラだ。肩に置かれた悠輔の手に力がこもったのがわかった。それに応えるように、光の帯は大きく広がり、やがてそれは赤い光に変わる。2人はキスを交わした。

その後・・・

あの、赤いオーロラを見た日から1年が過ぎた。美雪が余命宣告をされた時から2年。命のタイムリミットを1年過ぎたが、美雪はまだ生きている。

東京に帰ってからすぐに入院し、美雪は辛く厳しい治療に耐えてきた。悠輔は毎日お見舞いにきてくれた。

そして今日、美雪は悠輔とともにカフェVOICEにいる。今日は美雪だけのために店は貸切だ。たぶん、これが最後の外出になるだろう。

今の美雪には悠輔が出してくれたカフェラテのカップを持ち上げるのもやっとで、ワッフルも一口しか食べられない。最期の時が近づいていた。

『あ、雪・・・』いつの間にか、窓の外には雪が降っていた。初雪だ。悠輔はもう1人では歩けない美雪を車椅子から抱きあげ、テラスへ。勇介に抱かれながら、次から次に降ってくる雪を見ていると、美雪は心から幸せだと思う。

(死んでもいいくらい幸せだと思った人だけが、本気で死にたくないって思うんだね・・・)そう思いながら、悠輔の腕の中で静かに目を閉じた美雪。まぶたの奥で、赤いオーロラが揺らめいているのが見える。花びらのような雪が、悠輔と美雪の間に落ち、そして消えた。
 

 

ノベライズ本『雪の華』の感想

以上、映画『雪の華』の脚本をもとに書き下ろされた、ノベライズ本結末までのネタバレあらすじでした。

死が迫り、悠輔と運命的な出会いを果たしたことで、今までの自分を変えていった主人公・美雪が、本当に欲しかった最愛の恋人・悠輔の愛を手に入れました。

恋をしたことがなかった美雪が、最初こそその楽しさ、嬉しさに心躍らせたものの、どんどん悠輔のことを好きになるにつれ、失う悲しみの方が大きくなってくる様子がとても印象的でした。

また、失うこと前提で美雪をまるごと愛すると決めた悠輔の決断も想像を絶するものがありました。愛する悠輔に辛い思いをさせたくないという一心で、自ら離れていった美雪の心情もかなり切なく、映画化されれば号泣必須のシーンとなるでしょう。

そして1番印象的だったのは、『雪の華』のラストシーンです。余命宣告をされた時から1年を超え、生き続けている美雪ですが、結末の美雪の衰弱ぶりからもその幸せが長く続くことはないと示唆されていて、とても複雑な結末となっています。死んでいいほどの幸せを感じた美雪が目を閉じ、2人の間に落ちた雪のかけらが消えるシーンは、まさにその時、美雪の命の灯火が消えたかのようにも受け取ることができるのではないでしょうか。

美雪の場合、病気という形で人よりも早く死期に迫られたからこそ、悠輔との恋人契約が始まり、のちの幸せな時間につながっています。終わりがあるからこそ、今この時が輝くわけで、死があるからこそ生があるという当たり前ですが、忘れがちなことに気づかされますね。

ただのラブストーリーの枠を飛び越え、生きる意味について深く考えさせられる作品になりそうです。
 

 

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