中谷美紀さん主演ドラマ『あなたには帰る家がある』の原作結末までのあらすじをネタバレでまとめてみました。
4月スタートの新ドラマ『あなたには帰る家がある』の原作は、中本文緒著の小説『あなたには帰る家がある』です。2組の夫婦が交わることにより、動き出す運命・・・幸せな夫婦夫婦生活とは?家族の幸せとは?帰る家を持つ人なら、思わず我が身をふりかえざるを得ない、静かに突き刺さってくる作品となっています。
以下、中谷美紀さん主演ドラマ『あなたには帰る家がある』原作結末までのあらすじをネタバレでまとめています。ドラマ『あなたには帰る家がある』の最終回結末のネタバレに繋がる可能性がありますので、ご注意ください。
目次
ドラマ『あなたには帰る家がある』原作の簡単なあらすじ(ネタバレ)
ドラマ『あなたには帰る家がある』の原作小説で描かれるのは、佐藤夫婦と茄子田夫婦の2組の夫婦。
佐藤夫婦は、住宅メーカーで営業として働く夫の秀明(玉木宏)と結婚するにあたり、自ら進んで寿退社し、専業主婦となった真弓(中谷美紀)で構成されるごく平凡な夫婦。娘の中学受験を終え、ひと段落ついたところで、職場復帰する真弓ですが、家事や子育てに協力しない夫は変わりません。これまでに不満がありながらも、家事や子育てを一手に引き受けてきた真弓が仕事を持ったことで、夫へのたまった不満が爆発。夫婦の溝となっていきます。
一方の茄子田夫婦は、いまどき時代錯誤もいいところの男尊女卑的な考えを持つ夫の茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)と、そんな夫に献身的に尽くす妻・綾子(木村多江)で構成されています。ただ亭主関白なだけではなく、外部の人間にも散漫な態度の太郎。なぜあんな嫌な男に、綾子のような美人が何も言わずに尽くし続けているのか?茄子田夫婦と仕事先で出会った秀明は疑問を抱きますが、それには茄子田夫婦の結婚するときにあったある秘密の状況というものが大きく絡んでいて、その秘密があるゆえに綾子が我慢せざるを得ない状況になっていたのでした。
建て替えのために秀明の勤める住宅メーカーを訪れた茄子田夫婦と出会った秀明は、客としてやりとりを重ねるうちに、茄子田家の事情を垣間見ることに。そんな状況に耐えている(ように秀明には見えた)綾子に感情移入していき、やがて秀明は綾子と身体の関係となってしまうのでした。
一方の真弓も仕事絡みで、綾子の夫である太郎と出会い、顧客として接し始めることに。とはいえ、太郎は真弓が秀明と夫婦であることは知らず、真弓も夫が太郎の妻と不倫関係に陥っていることは知りません。仕事に奮闘する真弓は、ついに秀明への不満が爆発。向こう3ヶ月、収入が多かった方が家の稼ぎ手となり、少なかった方が仕事を辞め、家に入るという取り決めが行われました。
そしてついに秀明と綾子の不倫関係がバレ、真弓と太郎の知るところとなります。4人が一つの場に集結し、修羅場に発展。そのことがきっかけで、今まで嫌なやつでしかなかった太郎の、家族への意外な思いを知った真弓。夫の秀明、夫の不倫相手である綾子、綾子の夫・太郎、そして自分・・・真弓はある決断をします。
幸せになるためにした『結婚』という選択。年月を重ねるうちにいつしか、相手に全力で向かい合おうとしなくなり、自分は幸せなのか?ふと疑問に思う瞬間が訪れます。そんななかで、それぞれの登場人物に生まれる、正論だけでは語れないグレーな感情、グレーな行動の描写は必見です。
それでは、ドラマ『あなたには帰る家がある』の原作結末までのネタバレあらすじ、スタートです!
ドラマ『あなたには帰る家がある』原作結末までのあらすじ(ネタバレ)前編
真弓と秀明
全く家事に協力しない夫の佐藤秀明(玉木宏)を前に、佐藤真弓(中谷美紀)はため息をついた。かつて交際していた秀明と結婚を望み、また仕事の重責から逃げたい気持ちもあり、故意に妊娠した真弓。望み通り、秀明と結婚することになり寿退職し、専業主婦となったが、日々の生活は真弓がかつて思い描いていた幸せな生活とは少し違った。
もともと家事全般が得意ではない真弓に対し、細かい性格の秀明は真弓の仕事ぶりに何かと口を出した。娘の中学受験が終わり、子育てがひと段落した折に、かつての同僚と出会い、復職を誘われたことがきっかけで、真弓は社会復帰することになった。(原作小説では真弓の復帰先は生保レディの仕事ですが、ドラマの設定では結婚前に働いていた旅行代理店です)
太郎と綾子
ある日、秀明の勤める住宅メーカーのモデルハウスに、老朽化した実家の建て替えを考えているという一組の夫婦が訪れる。中学教師をしているという夫の茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)は、対応した営業マンである秀明にも散漫な態度。客であることから、顔には出さずに対応する秀明の目に留まったのが、そんな夫に献身的に尽くす妻・綾子(木村多江)の姿だった。自身の妻・真弓とは違い、一歩引いて夫に尽くす美しい綾子の姿に、秀明は好感を抱く。
建て替えを考える茄子田家を訪れた秀明は、茄子田家の事情を知ることになる。太郎・綾子夫婦は、1人息子の慎吾(萩原利久)と太郎の年老いた両親との5人暮らし。(原作小説の設定では茄子田夫婦には次男がいます)太郎の実家に暮らしていた。太郎と同じく、太郎の母からも綾子は冷たく扱われているらしい。
太郎の自宅で夕食に誘われ、出てきたものは自身の妻・真弓が作るものとは大違いの手の込んだ料理ばかりだった。また、営業マンである秀明に相変わらずぞんざいな口の利き方をする太郎のことを、綾子はそっと詫びてくれる。秀明は綾子のことを不憫に思うとともに、ますます綾子に惹かれていく。また、綾子の方も自分に好感を抱いてくれているように秀明は感じていた。
交わる二組の夫婦の運命
そんななか、真弓もまた、仕事絡みで太郎と出会うことになる。(原作では真弓が太郎に保険加入を進めていくという設定になっていますが、ドラマでは真弓が旅行代理店勤務であるため、修学旅行などの話を営業していくことになるのかもしれません)しかし、この時の真弓には、夫の秀明が目の前の太郎と仕事上関わっていることなどは知る由もない。また、太郎も目の前の真弓の夫が、住宅メーカーの秀明であることには気づかないのだった。
専業主婦であってもとても完璧には家事をこなすことができなかった真弓だったが、働き始めてますます家事をこなすことが負担になってきた。自分が働き始めたからといって、秀明が協力してくれるわけでもなく、徐々に真弓の中で、なぜ自分も働いているのに自分だけが家事を負担しなければならないのか?という憤りが湧いてくるのだった。
女癖の悪い太郎
中学校の教師であるにも関わらず、素行があまりよろしくない太郎。太郎は秀明の勤める会社の女性社員・森永桃(高橋メアリージュン)にまでちょっかいを出すようになっていた。ますます太郎への嫌悪感を募らせる秀明だったが、客であるため無下な対応もできない。太郎に誘われ、飲みに行った先で、秀明は太郎と綾子の馴れ初めを聞かされることになる。
お見合い結婚だったという太郎と綾子夫婦。綾子が多くの男性が羨む美人であることを知っている太郎は、2回目のデートで綾子が妊娠し、結婚するに至ったと秀明に自慢げに話して聞かせた。密かに好意を寄せている美しい綾子が、こんなにもゲスい男性に妊娠させられ、大切に扱われていないという事実に、秀明は激しい怒りを感じ、つい飲み過ぎてしまい、泥酔してしまう。泥酔した秀明を、太郎は自宅へ運んだ。
溢れる想い
酔いつぶれた秀明が目を覚ますと、目の前に綾子がいた。自分のことを気遣ってくれる綾子を目の前にし、また酒も残っていたことから、秀明は思わず綾子のことを抱きしめてしまう。綾子も抵抗しなかった。秀明の口から『綾子さん、本当に幸せなんですか?』という言葉が思わず出た。綾子は何も言わずに、秀明のことを強く抱きしめ返した。
それ以来、綾子の中でも秀明への想いが強くなっていく。自分は幸せだと思い込もうとして生きてきたが、果たして自分は太郎と夫婦で本当に幸せなのだろうか?秀明となら、もっと幸せになれるのではないだろうか?綾子が秀明のことを考える時間が多くなっていった。
一線を越えた秀明と綾子
そんなある日、出来上がった図面を持って、秀明が太郎の自宅を訪れると、家にいたのは太郎の母親だけだった。秀明は太郎の母に、嫁である綾子の愚痴を延々と聞かせられることに。自立する力を持たないがために、太郎に媚を売り、自分たちに媚をうる綾子の生き方を母親は非難した。すでに綾子へ気持ちが傾いている秀明はイライラを募らせながら、太郎の自宅を後にすることになる。
太郎の自宅から出ると、外は土砂降りだった。帰り道、秀明は近くのスーパーの前で、たくさんの買い物した荷物を持った綾子が困り顔で立ち尽くしている姿を目撃する。秀明は車から綾子に声をかけ、車に乗せた。『お時間ありますか?』秀明は綾子をホテルへ連れて行った。
その日をきっかけとして、秀明と綾子の不倫関係が始まった。真弓と秀明の休みの日が違うことから、真弓が働き始めてからというものすれ違いが続いている。そういうこともあって、秀明は自分の休みの日はほぼ綾子と会うようになっていた。とはいっても、秀明の方は真弓と娘・麗奈(桜田ひより)の家庭を壊してまで、綾子と添い遂げるといったような気持ちはない。しかし、その一方、綾子は秀明との関係に夢中な様子だった。
勃発した収入対決
真弓は秀明の変化に女性の勘で、気づいていた。もしかすると、夫は浮気をしているかもしれない・・・そんななか、秀明に対しての不満がついに限界を迎えてしまう。激しい言い争いとなり、真弓と秀明夫婦は向こう3ヶ月の収入が多かった方が今後働き手となり、低かった方が仕事を辞め家に入り、家事と子育てをするという取り決めをすることに。
このことがきっかけとなり、2人は収入を上げるため、秀明は太郎との本契約を取ろうとやっきになり、そして真弓もまた自身の仕事で太郎との契約を取ろうと奔走することになっていくが、夫婦はお互いの勝敗の行方を担っているのが太郎であることをまだ知らない。真弓は太郎の同情を買うため、母子家庭だと嘘をつくようになっていた。
ドラマ『あなたには帰る家がある』原作結末までのあらすじ(ネタバレ)後編
発覚した不倫関係
秀明と綾子の不倫関係は深い沼にハマっていくように、続いている。以前から綾子との温度差に気がついていた秀明だったが、いまはもう、その温度差に秀明が恐怖を感じるまでになっていた。綾子は秀明に完全にハマってしまっていたのだ。秀明に夢中な綾子は、自身の身を思いつめ、精神的に不安定になることがよくあった。そんなときには、職場にまで電話がかかってくる。そうなれば、仕事中でも秀明は何かと用事を作って外出し、綾子を抱いた。しかし、2人の不倫現場はある人物によって目撃されてしまうことになる。
秀明と同じ職場で働く森永桃は、もうずっと前から憧れに似た恋心を密かに秀明に寄せていた。しかし、ある日、森永は社用車でホテルに入っていく秀明の姿を偶然目撃してしまう。森永には助手席に乗っている女性の姿もよく見えた。それは、森永自身もモデルルームで目撃している太郎の妻・綾子だったのだが、森永は気づけず、てっきり秀明の妻・真弓だと思い込む。
夫婦関係が円満であることを察し、同時に自分に勝ち目はないと判断した森永は、退職することを決意。上司の竹田邦彦(藤本敏史)は森永を思いとどまらせようと食事に誘う。すると、偶然同じ店で食事をしていた真弓とその上司に会ってしまう。秀明の妻である真弓のことを知っている竹田と会話する真弓の姿を見た森永は呆然・・・秀明が妻ではない別の女性と不倫をしていることを、森永は察したのだった。そして、その不倫相手が客である茄子田夫妻の妻・綾子であることに、森永が気付くのにそう時間はかからなかった。
太郎の気持ち
中学校の職員室で、愛妻弁当を開いた太郎もまた、綾子の変化に気づき始めていた。最近、弁当に手抜きが生じているのだ。また、太郎が家に帰ったとき、綾子が人目を憚りながら泣いているところを目撃し、自分に相談してくれればいいのに・・・と感じていた。太郎なりに太郎は綾子のことを本心では気にかけていたのだ。新しい家を建てることも、綾子が喜ぶだろうと考えてのことだった。しかし、建て替えに向けて動いているにもかかわらず、綾子が悩みを抱えているのだとしたら、建て替えはもう少し待ったほうが良いのかもしれないと太郎は思い始める。
夫婦の秘密
そんな太郎の気配を察した秀明は焦り、太郎のいない間に太郎の父親に取り入り、契約をもらおうと自宅を訪ねることに。しかし、太郎の父親は家族のための唯一の働き手である太郎のことを、人間として不完全なところは認めるものの尊重したいと契約には一切関わらない姿勢を示す。太郎の父は、知り合った当初、別の男性の子供を妊娠していた綾子のことを、それを承知で太郎が結婚したことを秀明に語る。
夫婦の秘密を知った秀明は激しいショックを隠せない。秀明は綾子に直接尋ねた。『慎吾くんは誰の子供なんだ?』何も答えない綾子に、秀明はどうしても太郎との契約が欲しいため、綾子に協力して欲しいと懇願した。
その晩、綾子は1人、秀明の言葉の真意を考えるとともに、太郎と出会ったときのことを思い出していた。慎吾の本当の父親は、姉の夫になる予定の男性だった。婚約者として家に出入りするその男性と接するうちに、若い綾子は惹かれていく。綾子の好意を察した男性に誘われ、一度きりの関係を持った綾子。綾子の妊娠が発覚したのは、姉の結婚式の翌日だった。
綾子は妊娠中の子供含めて、自分を受け入れてくれる男性と結婚し、子供を産もうと決意。母親が持ってきた見合い写真の中から、1番モテなさそうな太郎を選んだのは、外見が良い男性より、悪い男性のほうが優しいだろうと考えたからだ。
太郎と綾子の見合いはトントン拍子に進み、2回目に太郎に会ったとき、綾子は自分が妊娠していることを打ち明ける。太郎は大きなショックを受けた様子だったが、それでも翌日、綾子の実家に現れ、綾子を必ず幸せにすると両親に結婚の許しを求めた。
また、慎吾の出産後、血液型が原因で太郎の両親に真相が発覚してしまったことがある。そのときも、太郎は『誰の種でも綾子が生んだのであれば、俺の子供だ』と綾子のことを守ってくれた。
綾子の解釈
引き続き、綾子は誰の子供なんだ?という秀明の問いの意味を考え、それは自分と今後結婚を考えてくれているからに違いないと思い当たった。結婚すれば、慎吾も秀明の子供になる。だからこそ、知っておきたいという意味だったのではないか?
また、太郎のとの契約を欲しがっていたことも、それを裏付けるように綾子には思えた。離婚するにはそれなりのお金が必要だろう。そのために契約が欲しいに違いない。そういえば、今月の生理も遅れていることから、綾子は自分が秀明の子供を妊娠したのかもしれないと考える。新しく生まれてくる子供と自分と秀明と、そして慎吾と秀明の娘・麗奈と5人で暮らせたら、これ以上の幸せはない。綾子は嬉しくて嬉しくて、自分の体温が急上昇するのを感じる。
真相を知った真弓
真弓もまた、秀明との収入対決に当たって、太郎から契約を取ろうと太郎に気があるように見せるなど奮闘していた。契約の交換条件として太郎からデートを迫られ、真弓は仕事のために太郎と一線を越えることができるのか?自問自答していた。
ある日、仕事を辞めた森永と偶然出会った真弓。森永と喫茶店に入った真弓は、秀明が茄子田太郎の妻・綾子と不倫していることを知ってしまう。
修羅場
夫婦間の収入対決が続いている最中の真弓の休日。体調を崩した秀明も自宅にいた。すると、突然玄関のチャイムが鳴り、綾子がやってきた。
『お願いがあって参りました。秀明さんは私と結婚してくれるそうなので、もしよろしかったらおたくの娘さんも引き取らせていただこうかと・・・真弓さんは秀明さんのことも、娘さんのこともいらないんでしょう?ならば、私がもらって差し上げます』笑みを浮かべながら、淡々と語る綾子の狂気に恐怖を感じた真弓が、秀明を呼ぶ。出てきた秀明が綾子を追い返そうとすると、綾子は『結婚してくれるって言ったじゃない!お腹に秀明さんの子供がいるのよ!!』と叫んだ。
そこに、太郎がやってきた。秀明の子供ができたので秀明と暮らすということを綴った綾子の置き手紙を太郎が読んで駆けつけたのだ。太郎はそこで真弓に対面し、母子家庭だと嘘をついて自分近づいてきた女性が、秀明の妻であることを知り、誰も信じられないといった気持ちから感情を爆発させる。太郎が秀明に掴みかかり、秀明が怪我をしてしまった。
太郎の真意と真弓の決断
病院。秀明の怪我は予想以上にひどく、入院が必要らしい。病院の廊下で、太郎が綾子が置いて家を出て行った手紙を真弓に見せた。そこには、秀明に恋をし、妊娠してしまったこと、太郎と結婚したのは当時お腹の中にいる子供を含めて受け入れてくれる人であれば誰でも良かったこと、太郎との結婚生活では自分は幸せになれなかったこと、しかし太郎には感謝していることが綴られていた。
太郎は号泣していた。自分が秀明とは違い、モテないことはわかっている。もしかすると自分に好意を持ってくれているのかもしれないと淡い期待を抱いていた真弓もまた、秀明の妻だった。綾子だけは自分のことを愛してくれていると信じていたのに、秀明に奪われ、結婚さえも打算だったと言われてしまった。太郎は子供のように、人目をはばからず泣きじゃくった。真弓は太郎の頭をそっと抱き寄せた。
真弓が病室に入ると、反省し、真弓が自分には愛想が尽きただろうと考えた秀明が離婚を切り出してきた。しかし、真弓はちゃんと主夫になる約束を遂行しろと離婚に応じなかった。『それで君は幸せなのか?』と尋ねる秀明に背を向けたまま、真弓は『私、茄子田さんと寝たよ』と言い、病室を出て行った。
それぞれの夫婦のその後
こうして、秀明は仕事を辞め、主夫となり、真弓が一家の大黒柱として働きに出る日々が始まった。家族の幸せが自分1人の稼ぎにかかっているという重圧は並大抵のものでないことを真弓は知り、また収入のなかでなかなかうまくやりくりしてくれない秀明への不満も理解することになる。
一方の秀明は、もともと細かい性格だったこともあり、なかなかうまく主夫業をこなすのだった。
そんなある日。節約のため、遠くのスーパーまで買い出しに出かけた秀明は、ふと近くに太郎の自宅があることに気づき、寄ってみることに。すると、かつて太郎の自宅があった場所は更地になっていた。偶然、慎吾と出会い、聞いた話によれば、今度家を新しく建て替えることになったらしい。
また、慎吾との会話により、真弓が太郎から契約をとれていなかったことを察した秀明。給与明細も確認せずに主夫になってしまったが、もしかすると自分は負けていなかったのかもしれない、そんな思いがふと秀明の頭に浮かんだ。
ドラマ『あなたには帰る家がある』原作結末の感想
原作小説『あなたには帰る家がある』は2組の夫婦の間に起こった不倫関係を描いていますが、そのことを通してクローズアップされているのは、それぞれの夫婦のそれぞれの事情。2組の夫婦のなかの2人の妻・2人の夫、誰かのいずれかの部分に、共感を持った読者も多いのではないでしょうか??
序盤、最も嫌なやつだと思われた太郎が、終盤、実は1番家族思いであったことが発覚しました。また、太郎が自らの外見にコンプレックスを持っていることも明らかになりましたね。散漫な態度は、おそらくそのコンプレックスから出た、人に見くびられたくないという強い気持ちからきているものなのかもしれません。とはいえ、太郎も妻・綾子への本心はきちんと伝えておくべきでした。
そして、2組の夫婦の運命が交わったことで、最も激しく揺れ動いたのが、綾子でしょう。他人の子供ごと、自分の面倒を見てくれた太郎の男らしい行動が、何よりの太郎の愛情で、綾子はそこに愛情を見出し、幸せを維持していければ良かったのですが、綾子も人間ですから長年優しい言葉がないと、優しい言葉をかけてくれる男性の方へ心が寄りかかってしまう気持ちも理解できます。おそらく綾子は恋愛経験もほぼ0の状態で、なかなか真似できない男らしさを持った太郎と出会い、結婚していますから、男性が太郎のような男らしい対応をしてくれる人ばかりだと思い込んでしまっていたのかもしれません。
そういう意味では、秀明のような恋愛関係と家庭を別々に考える男性に揉まれ(最初に関係を持った姉の恋人の男性もそうですが、綾子のことですから未だに都合よく解釈していそうです・・・)、太郎の希少さに気づいて、新たな気持ちで太郎との結婚生活を大事にしていければ良いのかなと思います。
そして、立場を入れ替えた真弓と秀明は、前の立場のそれぞれの大変さを感じる場面も多いことから、これからはうまくやっていけそうですね。『太郎と寝た』発言をした真弓ですが、太郎との契約が取れていないことから、真弓が太郎と寝た可能性はほぼなく、その発言が浮気をした罪悪感から離婚を切り出した秀明の心を軽くしようという気遣いから出た言葉であったと推測されます。
また、秀明も最終的に真弓が太郎から契約を取れていなかったことを知り、2人に身体の関係がなかったことを察し、真弓のその言葉が自分への気遣いであったことを察するのではないかと思います。
『帰る家がある』ということは縛られることも多く、不満が生まれることもあるでしょうが、何にも縛られず帰る家もない(帰らなくてもいい)という状態は果たして幸せなのでしょうか?夫婦の幸せ、家族の幸せについて、改めて考える面白いドラマになりそうですね。ドラマ『あなたには帰る家がある』の方も、楽しみに観ていきたいと思います。
素晴らしい記事をありがとうございました!
わかりやすく最後の文章にグッときました。